整形外科医(ryuuta19)の独り言 -153ページ目
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打腱器

私専用、というと医学生時代に買った打腱器です。膝とか叩くためにあるゴム製のハンマーですね。けど買ったはいいが病棟や外来にすでに用意されていて、ちょっと悲しくなったのを覚えています。

あの人に

僕は毎日整形外科医として働いているわけで、色んな人と出会う。医者は患者を選べない。そして人間誰でも患者となりうるのだ。

僕はそこそこ外向的で、そこそこ内向的などっちつかずの性格だから、どんな人にでも合わせることができるのが僕の唯一の特徴だと思っている。それが得なのかは28才になった今でもわからない。

96才男性、右大腿骨骨折のAさんは術前はすこぶる元気だったが、術後から痴呆が出始めた。Aさんはその後肺炎を併発しそのまま帰らぬ人となった。

Aさんの枕元にはいつでも亡くなった奥さんの写真が飾られていた。Aさんの意思ではなかったのかもしれない。96才男性明治生まれは普通そんなことはしないからだ。

それは僕の心に深く刻まれた風景だった。すでに痴呆が進み、肺炎がAさんの体を蝕んでいて酸素が一応鼻から吸入していた。家族は延命処置を望まなかった。Aさんはそんな体で右手で写真を優しく、ゆっくりと撫でていた。

僕は医者でありながら不覚にも涙を流しそうになった。その後すぐにAさんは奥さんへ会いに逝った。あれは奥さんとの合図だったのではないか。僕はそう信じている。

被害者意識

整形外科は外傷を主に扱う。

だから交通事故の大半の患者を診る。頭とか胸とか腹とかに異常がない限り。

一番やっかいなのが「相手」がいる交通事故だ。単独事故なら自分が悪いのだからあきらめがつく。だが「相手」がいると話がややこしくなる。

「相手」憎しの感情が僕ら医療関係者にほとばしることもある。たいていは聞き流すのだがこちらも人間だ。特に僕のようなまだまだペーペーで若造で、さらには患者が多くてさばくのに大変なときは聞いていられない。

まあ、私はぜんぜん悪くないとか、ぶつけられた車が新車だったとか、「相手」はどこをみて運転しているのかとか、あそこのミラーが曲がっていたからぶつかったんだとか・・・。

そんなことは警察や保険屋に言っておくれ。ここは病院で、あなたの怪我や病気をなおすところなのだから。

今日の急患

僕が働く病院はそれほど小さくもなく、それほど大きくもない、地方都市の地方病院である。そんな病院でも結構急患はやってくる。

今日の急患は酪農家の人だった。
トラクターに左ふくらはぎを踏まれて、約二十センチ程度筋肉がもげた状態だった。
牛糞が一部こびりついていた。

とりあえず僕は神経血管障害のないことを確認し、局所麻酔下に洗った。そして上級医と話し合い、手術室で腰椎麻酔下に創洗浄、デブリドメント(汚い組織を切り取ってしまうこと)を行うこととなった。

手術室でも丹念に洗い(洗うことは本当に重要なのだ)、異物のないことを確認したあと皮下、皮膚を縫った。

あとは感染がおこらないことを祈るのみである。まだ中年の方だったので大丈夫だろうと思う。ただし汚い創だったのでこればかりは運命だ。

整形外科はこういう四肢の外傷を扱ってるのでした。



とりあえず。

こんばんは、ってここに書いて良いのかな?
よくわかりませんがとりあえず自己紹介。

二十八歳男性。既婚。
職業は整形外科医。3年目のぺーぺーです。

整形外科って何?という人のために説明すると、要は骨・関節・筋肉・神経などを診る科です。
ありふれたものなら骨折とか捻挫とか腰痛とか膝痛とかー

普段感じていることを、まあゆっくりと書いていこうかと思ってます。

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