切断
誰もがハッピーにならない手術というのもある。
切断がもっとも整形外科医にとってハッピーじゃない手術だろう。
患者さんにとっても患者さんの家族にとっても。
ほとんどが糖尿病だったり閉塞性動脈硬化症だったり腎不全だったり、はたまたそれが全部合わさっていたりと、なんらかの基礎疾患があって動脈に血が通えなくなり、足の先が腐っていってしまう。
そのまま放置していると最悪敗血症という状態になって死んでしまうことだってある。
なんてことを言ってしぶる患者さんを説得し、ひざ下とか膝上とか足の指だけとかで切断するのだけど、さっき言ったように基礎疾患が治っているわけではないから、切断したところからまた腐っていくことだってある。。。
Aさんもそんな切断した人だった。結局彼は両方の足を大腿部で切断したのだった。
もともと糖尿病があり、本当に足の先の一部が壊死しただけだったのに。あれよあれよというまに足が壊死していき、ひざ下で切断しても菌(MRSAという性格の悪い菌だった)が治らず、結局大腿部で切断した。
僕の見込みがあまかったのか。
それとも手技が悪かったのか。
抗生剤の選択がダメだったのか。
ただ単に菌の種類が悪かったのか。
ただ単に運が悪かったのか。
ただ単にAさんの血行が悪かったのか。
僕の出来る範囲で100%やろうと毎日思ってはいるけれど、何か甘えがでたり投げやりになったり、どうせこんな手術だからと思ってないかな。経験を積んできたきたからこそ考えること。